不当解雇については労働基準法での規範にはなっていませんが、労働契約法により「解雇は客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」とあります。これはどういうことかといいますと㋐解雇は理にかなった確固とした理由が必要、㋑会社外の世間相場的にも「それほどの理由なら解雇するしかない」と皆が納得するレベルが必要、ということになります。㋐㋑を満たさない場合は解雇の権限を不適切に行使したこととなり、いくら「解雇だ!」と叫んでも解雇は無効で、労働契約は相変わらず継続した状態ということになります。この際、通常は解雇を通告されてから従業員の方は仕事をしていないかと思いますが、不当な解雇通告で仕事ができなくなったということは会社の責任となりますから、仕事をしていない期間の賃金の支払いも必要となります。また、労働契約が継続しているということとなれば、従業員の方の希望により、原則としては復職ということもありえるということになります。従業員の方が解決のために具体的にとられる行動としてはユニオン加入による団体交渉(「団体交渉拒否のリスク」参照)、紛争調整機関への申し立て等もありえます。また、これはどの紛争でも共通ですが当然裁判の可能性もあります。ではどの程度の理由であれば解雇が認められるのでしょうか。